押入れの奥から出てきた

とてつもなく懐かしいもの



古びた長方形の箱の上には

こんもりとほこりがかぶっていた

そのほこりも汚いという感じがせず

まるで灰色の雪のように見えた



ほこりを払い中を見てみると

そこには12色のクレヨンが入っていた

どれもこれも折れていたり欠けていたりしていて

まともに原型をとどめているものはない



「・・・懐かしいなー・・・」



無意識のうちに オレはそう呟いた


外で遊ぶ事が多かったオレだけれど

1人っ子だったせいもあり クレヨンと画用紙には

よく世話になったものだ

画用紙だけではつまらなかったらしく

オレの家の壁にはちらほら落書きが残っている



そしてよく見ると

12色のクレヨンの中で ひときわ短くなっているものがあった





―――――
赤色のクレヨンだ――――――





自分の名前の色だから、と結構頻繁に使っていた気がする



自分の名前のクレヨン

そう思って絵を描くだけで

すごく嬉しかったし すごく楽しかった

赤色のクレヨンを使って描いたものは

どんなものでも特別なものに見えた



なぜかは知らないけど 




今思えば それが「コドモゴコロ」って奴だったんだろう





「客人ほったらかして何やってんだ・・・」



「あ」


グリーン

家に来ていたのをすっかり忘れていた


見たところそうは怒ってないようだけど

微妙に機嫌が悪そうだ

・・・まぁあたりまえか




随分と楽しそうだな」


そうは言っているけれど

顔は笑っていなかった



「あはは、ゴメンゴメン。懐かしいもの見つけちゃってさ」


「その手に持ってる奴の事か?」


彼の目線はオレが手にしているクレヨンに

しっかりと向いていた


「そ、クレヨン。お前も昔やっただろ?」

「・・・まぁ
少しはな・・・」






意外



こいつでもやったことあるんだ



こんなすかした奴のことだから

やったことないと思った

尤もそれは今のイメージから来るものなんだろうけど





ふと グリーンの方に顔をむけると

グリーン特有の深い
緑色の瞳と目が合った




緑色の瞳を持っている奴は 他にもたくさんいるんだろうけど

こいつの「
」は少し違うように思える

見ているだけで吸い込まれそうな 深い


それはまるで暖かな森の煌きのようで―――



一瞬

オレは息が止まったかと思った



「何だ。人の顔ジロジロと覗きこんで」


不快そうにグリーンが言った


オレは別に そんな風に見たつもりなかったんだけれど




「ん――・・・やっぱお前って『グリーン』だなぁって」


「は?」



思いっきり変な顔をされた

オレはとりあえず笑ってごまかしてみた

だって説明しても通じなさそうだし




ちらっとクレヨンの
緑色を見てオレは思った



―――やっぱグリーンの
の方が綺麗だ―――



「いーよな、名前が自分にあってる奴は」

オレはふざけながらそう言ってやった

少しひがみっぽく





「・・・お前は、名前が自分にあっているよは思わないのか?」



「・・・どーなんだろーなー・・・?」


人に聞いておいて何だけど

そこの所はオレもよく分からない

前は「熱血漢」とかよく言われてたから

オレのイメージカラーは間違いなく
だったのだろうけど

最近はそんなことはあまり言われなくなった

(成長したって事かな?)


「そもそもオレ、
ってそんなに好きじゃないしなー」


炎とか血とか、あんまりいいものが連想されないし?

もちろんそれはただの固定観念なんだけど


「・・・オレはあっていると思うが?」


「何で?」


「色と聞いて
を思い出さない者は少ないだろう」


大体の奴が思い出す中心的な色なんだ


グリーンはそう付け加えた


「似たようなものだろう。お前も」


「そーかな?」

グリーンの言った意味がよく分からないまま

オレは答えた

グリーンにしてみれば誉め言葉のつもりなんだろう


「尤も」


不意にグリーンが口を開いた



「オレはそうだと困るんだが」


「何でお前が困るんだよ」



少しの間 

グリーンは言うか言うまいか考えたみたいだった









「恋敵がこれ以上増えるのは御免だからな」



















またしてもやっちまいましたキャラ崩し(アホ)
なんか色々自分設定入っちゃってる気がする(涙)


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