いつかアンタを傷つけてしまうかもしれないけれど

それでも隣にいていいですか?




何時か来る破滅の日まで







今年の冬は特に寒い

暦の上ではまだ秋の筈なのに吹き付ける風は冷たく、手袋やマフラーなしで出歩くのは肌寒い。
現にオレも今、首にオレンジのマフラーを巻きつけてなんとか寒さを凌いでいる。それでも木枯らし
は上着を通り越して直接肌に響く。正直こんな時に外に出たくはなかったけれど――。


「ゴー、寒そうだな。」


「…寒そうじゃなくて寒いんスよ…。」


隣を歩いている先輩はそれ程答えていないようで。だってまだオレを気遣う余裕があるんだから。
オレと違ってコート一枚羽織っただけなのに全然平気そうだ。やっぱ、この人体温高いんだろうな。
別にオレだって低い訳じゃないけど、でも先輩には敵わない気がする。


実際気温が上がった訳じゃないけど、オレの体は芯まで冷え切ってるんだろうけど、この人の隣は
暖かい。雰囲気とかそーゆー類のモンかな。ホントにそんな感じがするだけではあるけど、オレを
虜にしてやまないこの感覚。一度知ってしまったらもう離れられない。例えは悪いかもしれないけど
ドラッグに支配されたみたいだ。



知ってしまったら逃れられない快感。それでも快感を求める欲望は膨らむ一方で。



手を繋ぎたい。そのしなやかな手で暖めて――。

抱きしめたい。その温もりでオレを癒して――。

キスしたい。その唇でオレを満たして――。



嗚呼、でも、これ以上望んじゃいけない。これ以上近づいたら駄目だ。オレは欲に踊らされて先輩を
傷つけるから。先輩が同じ事をオレに望んでも多分同じなんだろう。望みを叶えたい気持ちと同じ位
先輩の事、大好きだから。だから傷つけたくない。オレがこのまま寒さで凍え死んでしまいそうになっ
ても巻き込みたくないんだ。


「ゴー」


甘い声で呼ばれて、差し出されてたのは先輩の手。


「何スか、コレ」


「寒いからさ。手、繋ごうと思って。嫌か?」


――嫌なはずない。


先輩、嘘吐きだ。自分は全然寒くないくせに、オレの事気遣って。反則だよ。そーゆーの。オレ、
また好きになっちゃうじゃん。そんなに優しいとオレ、また甘えたくなるよ。


オレは何も言わずにポケットに突っ込んでた右手を差し出した。ほんの一瞬、木枯らしがオレの手を
襲ったけど、すぐに先輩の手が守ってくれた。


「風邪、ひかないうちに早く帰ろう。」


「…そっスね」


本当はもっとゆっくり帰りたかっただなんて、口が裂けても言えない。先輩と一緒なら、この寒さの中
だって平気な気がするんだ。先輩の隣は暖かい。涙が出そうな位。この場所を失わずに済むのなら
このままの関係でも構わない。



先輩、ごめんなさい。



オレは先輩と違って弱いから、いつか欲に負けて先輩を傷つけるんだろう。
でも、せめて、せめてその日が来るまでアンタの隣にいたいんだ。






何時か来る破滅の日まで






end


かーなーりー久しぶりに書いた語ーレ小説であります。紅音ちゃんのキリ番29000「ゴーレシリアス小説」
いつもと書き方違うのは(そうなんだろうか)私が友人のかく小説に一目ボレしたからです(何)
ともあれ紅音サマ。こんなんでよければもらってやって下さい。



モドル

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