マリア


「何よ・・・その眠そうな顔・・・」

「『眠そう』じゃなくて『眠い』んだよ・・・」


今目の前にいるレッドの顔ときたら
クマができている、という程ではなかったけど
いつもの優しさを秘めた瞳が
重たそうな瞼によってさえぎられていた。

そういえば、さっきから手を目にやる仕草も目立つような気もする。

その姿はまるで小さな子供のようだった。


「まったく、ちゃんと寝てないの?」

「うー・・・なんか目が冴えちゃってて・・・」


レッドでも眠れないこともあるんだなとしみじみ思ってみたり(失礼かな)


けど 

いつでもどんな時でもレッドは暖かい口調で答えてくれるのに

やっぱり何か変な感じだった。


「アンタがそんなんだと何か調子狂うわねー。いっそ昼寝でもしたら?」

「えー・・・昼に寝るのって何かなぁ・・・」


そう言ってレッドは渋そうな顔をした。

眠いんだったら昼も夜も関係ないような気もするけど
たまに昼寝が出来ない人というのもいるし。
彼もそのタイプなんだろう。


「そーねぇ・・・じゃあ子守唄でも歌ってあげようか?」

「え、お前が?」


俯き加減だった顔を上げて、レッドは以外そうな顔をしてた。
当然といえば当然の反応なんだけど。


「・・・金取るとか言わない?」

「この後に及んで何言ってんのよ。」


そう言うと相変わらずの眠そうな顔で『ゴメンゴメン』と笑いながら誤られた。

最初の出会いが結構ブラックだったから気持ちは分からないではないんだけど
いいかげん更正した(?)アタシに慣れてくれてもいいと思う。


「じゃ、お願いしようかなー。」

「ハイハイ。」


すぅ、と一息吸い込んで
昔の事を思い出しながら自らの音で歌を奏でた。


子守唄を歌っていて思い出すのは
脱走したばかりでシルバーと二人きりだった頃のこと。


あの頃のシルバーは怖がりで泣き虫で

そんな彼のために
アタシはよく子守唄を歌ってあげていた。

その時のシルバーの寝顔は今でもよく覚えている。

さっきまで泣きじゃくっていたのがウソのように
無防備で安らかな寝顔で



それを見ると

何だかアタシまで安心できたんだ。



そんなことをぼうっと考えている内に
ふとレッドの視線があるのに気づいた。



「・・・寝るんじゃなかったの?」

「んー・・・いや、何かさー・・・今のお前『母親』みたいだなって。」

「母親?」

「お前が歌ってる姿って・・・なんか優しくて・・・暖かくて・・・
見てると安心できるってゆーか・・・そんなトコが母親みたい。」



そう言ってレッドは微笑んでいた。



驚く程綺麗に。



そんなアンタが

なんでアタシのこと母親みたいなんて言ってくれるの?





「何よ、アンタだって・・・」

「ん?」

「・・・・・・やっぱ何でもない。」

「何だよ、最後まで言えって。」


いかにも不機嫌ですって顔でレッドは文句をこぼした。


「いーじゃない別に。ホラ、歌ってあげるからさっさと寝なさいよ。」

「へーへー。」






言える訳ないじゃない。










アンタの微笑んだ顔が聖母みたいだったなんて。








そしてアタシはあの頃と同じように、懐かしのメロディを奏でた。








end


レブルだかブルレだかよくワカンナイ小説(もどき)
ブル姉は女の子キャラの中で一番好きです。強い女の子は素敵。
この二人のなんの他愛のない会話がスキだったりします。




戻る


SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送